イスラムの再建 Islamic civilization, renaissance. 2003 4 30

 イラク戦争が起きた時、不幸なことに、これが、
十字軍対イスラム教国の戦いへと拡大しないかと心配になった。
 具体的な心配とは、世界に10億人以上いるイスラム教徒が、軍事力では、
アメリカに勝てないと考えて、全世界でテロを考えないかという心配だった。
 また、栄光と歴史のあるバクダットで、多数の市民を巻き込んだ市街地戦が起り、
何万人も市民が犠牲とならないかという不安もあった。
 そもそも、テロも市街地戦も、神の意志に反している。
 さて、バクダットが落城して、イスラム教徒は落胆しているというのか。
その落胆は間違いである。無血落城であったことを喜ぶべきである。
 かつて、日本にも無血落城があった。
その当時、日本には、江戸幕府という古い政府があった。
古い政府が、鎖国などという古い政策を守りすぎて、世界の進歩から遅れてしまった。
世界の進歩から、日本は、その当時、100年以上、遅れてしまった。
そこで、日本の将来を危惧した地方の豪族の若き獅子たちが立ち上がり、
革命軍を率いて、首都である、今は東京という江戸に攻め込んだ。
しかし、江戸幕府の首都である江戸では、市街地戦は起らなかった。
首都である江戸は、無血落城したのだ。
 無血落城した日本は、その後、どうなったか。
世界的にも有名な発展を成し遂げることになった。
経済の発展と科学技術の発展が起きた。
 しかし、イスラムにも高度な文明があった。
かつて、バグダードに「知恵の館」(Bayt al-Hikma)を建設し、ここに学生を集めて、
ギリシャ語やペルシャ語をアラビア語に翻訳することを組織的に行なった。
 この翻訳によって、イスラム教徒は、ギリシャの医学、天文学、幾何学、光学を学ぶこととなった。
イスラム教徒は、これらの学問をよく学び、これらの学問をさらに発展させた。
 また、イスラム教徒は、インドからも数学を学び、
数字(のちのアラビア数字)や十進法、そしてゼロの概念を導入した。
これによって、代数学や幾何学はめざましい発展を成し遂げた。
 またイスラム教徒は、アリストテレスの哲学をよく学び、独自の形而上学を発展させた。
 これがイスラムの発展の歴史だった。
さて、現代のイスラムはどうなのか。
よく歴史を学び、よく反省しなければならない。
 もうひとつ加えることがある。
イスラム教は、民族による差別を否定し、信者の平等を説いている。
これは世界宗教としての普遍性をもっていることなのだ。